【恩田社長の600日】クラブライセンス制度がFC岐阜に残したもの (2ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi


 では、FC岐阜はどうやって危機を脱したのでしょうか? 第3回にも書きましたが、すべては現FC岐阜の筆頭株主である藤澤信義氏の善意から始まりました。

 2012年の暮れにヤフーニュースでFC岐阜の存亡の危機を知った藤澤は、クラブに1億5000万円の寄付を申し入れます。ふるさと「ぎふ」への恩返しの気持ちからの行動でした。2013年シーズンに寄付は実行されて、この特別利益により、2013年の決算は黒字となり、連続の赤字をストップしますが、依然として1億円近い債務超過が続きます。2014年の決算で債務超過を解消できなければ、ライセンス交付は受けられない状況でした。

 債務超過の解消には地元金融機関にご協力いただき、1億円以上あった負債を整理しました。地元ぎふの協力体制を見届けた藤澤は未来への資金として、2億4000万円の増資を実施しました。これにより、債務超過は解消し、ライセンスの財務基準はすべてクリアします。

 一方で、2014年は過去最高のチーム人件費を投下したため、再び赤字に転落し、3期連続の赤字にリーチをかけないために、2015年を黒字にすることは、経営上の必達目標でした。

 そこで、2015年シーズンを迎えるにあたって、「売上10億、スポンサー料5億」の大風呂敷を広げました。2013年と比べて約2倍の数字です。ここでは詳しく書きませんが、スタッフの努力・後援会のご協力・スポンサーのご理解のおかげで、何とか黒字を達成しました。

 以上が財務面についてのお話です。一方で、設備面はどうでしょう?

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