【恩田社長の600日】FC岐阜が目指す『育成型クラブ』への道 (2ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi


 前置きが長くなりましたが、今回はトップチームの下にある組織についてお伝えします。

 FC岐阜の下部組織は以下の通り構成されています。社会人で構成された「FC岐阜SECOND」、高校生年代で構成された「FC岐阜U-18」、中学生年代で構成された「FC岐阜U-15」、これに加えて県内各地で開校しているサッカースクールのスクール生たちです。これらの組織に所属するメンバーは、同じFC岐阜のエンブレムを背負う仲間です。

 サッカースクールをどう見るかは、クラブによってさまざまな考え方があります。地域にサッカーを広めていく普及的な役割、U-15の年代につながる才能を発掘する育成的な役割、プロフィットを稼ぎ出す経営的な役割と、いろいろな役割のどこに重きを置くかで、組織図の中の置き場所も変わってきます。

「サッカー以前に、人として大切なことを教える」

 当たり前のことです。スタッフも、そのことを強く意識して指導に当たっています。しかし、どこまで伝えきれているか、胸を張りきれないところがあります。それでも、保護者の方の中には、この考えに深く共感して、勉強もきっちりとやるなど、子供の日常生活を大切に見てくれている方がいらっしゃいます。子供の未来を真剣に考えて、 "当たり前"のレベルを上げないといけません。

 一方、育成部門の強化には、別の効果も期待されます。

 私が市町村の首長に対して挨拶回りをしている際に、「実はこの市町村出身のお子さんが、うちのユースチームに所属しています」と話を振ると、必ず首長は体を乗り出し、「なんて名前の子ですか?」といったように、どの話よりも興味を示して頂けます。オリンピックで日本人が否応なく日の丸をつけた選手を応援するのと同じように、同郷という関係の持つ親近感には格別なものがあります。もし、FC岐阜の選手の大半がユースチーム出身もしくは岐阜県出身だったら、FC岐阜を今よりもっと1身近に感じてもらえると思います。私がJユースカップで感じたような、感情移入してもらえるチームになれるのではと思います。

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