【恩田社長の600日】Jリーグクラブの仕事はサッカーだけではない (4ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi


 そこで、2015年が始まる前にひとつの決断をします。「地域貢献活動」という自身の活動を「貢献」と呼ぶ、おこがましい活動名称を『ぎふ元気活動』に変更したのです。岐阜県全域で、皆を元気にし、自分たちも元気をもらう活動にしたいという願いを込めてのことでした。そして、プロサッカーチームの看板を背負って指導している以上、すべての活動において、何かインパクトを残すことを意識してほしいという私からの要望を、社内に伝えました。

 また、同時にマネタイズ、つまり市町村のスポンサー化に着手しました。確かに活動内容は、社会的意義のある素晴らしいものです。けれども、どれだけ素晴らしい活動でも、継続するにはお金が必要です。私はFC岐阜に来る前の仕事において、何度もお店を潰し、会社が消えるのも見てきました。当たり前にあったものがなくなる、それこそがお客さまにとって最大の裏切りです。素晴らしい活動だからこそ、継続できる仕組みが必要なのです。

 私が社長就任時点では、自治体のスポンサーは岐阜県と岐阜市だけでしたが、神戸町を皮切りに、練習グランドを貸していただいている笠松町、出身選手のいる関市、美濃加茂市、後援会長のお膝元の各務原市、私の出身地の山県市というように、縁深い市町村の首長を直接口説いて回り、少しずつ市町村スポンサーを増やしていきました。

 自治体は、一度予算をつけてもらえれば、継続することは比較的容易です。また、他の自治体の動きを注視しているため、一定数のスポンサー実績を作ることができれば、ドミノのごとくスポンサーになっていただけるのではと目論んでいました。

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