J2首位を走る札幌が証明。「昇格したけりゃCFとGKを揃えろ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 ひるがえって今季の札幌は都倉が28節の時点ですでに昨季と同じ13得点を記録。特記すべきは、正念場でゴールを決めている点だろう。

 第27節の清水エスパルス戦では、2-0から同点に追いつかれた後半アディショナルタイムだった。相手DFとの駆け引きで裏にスペースを作ってロングパスを呼び込み、バウンドも見切ってGKの鼻先で合わせ、決勝点を決めた。フィジカルを生かし、前線でポイントを作る"汚れ仕事"の質も高く、得点数以上に頼もしい存在になっている。

 札幌は、1-0の完封勝利が多いのも特徴だろう。28節を終えて9試合。効率のよさは突出している。その数字を支えるのが、韓国代表のGKク・ソンユンだろう。19試合出場でわずか9失点。身長195cmの大柄な体躯を生かしたセービングで、いくつものピンチを防いでいる。ク・ソンユンが韓国リオ五輪代表招集などで不在の9試合は10失点。不在時の数字がその存在感を証明していると言うべきだろう。

 2人は10位だった昨季も在籍していたが、バルバリッチ監督から四方田修平監督に交代するなど、チームの戦い方があまりに不安定だった。今シーズンは、バックラインの軸に36歳のベテランCB増川隆洋を補強して腰が据わった(ラインをずるずる下げるのは悪癖だが)。右アウトサイドのブラジル人、マセードが時折り見せる攻め上がりも、戦局打開にひと役買っている。なにより、ボールゲームを捨てる、という割り切りがリスクを最小限に留め、勝率を上げた。

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