どん底グランパス。なりふり構わぬ「5バック」に敵将も苦笑い (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 事実、この日の試合内容から判断すれば、せっかく拾った勝ち点1も、名古屋が今後好転していきそうな予兆を感じさせてくれるものではなかった。

 確かに、相手に得点を許さず、勝ち点1を手にしたことは、布陣変更が功を奏した、と言えるのかもしれない。

「現実に残留争いに入ってしまっている。しっかり勝ち点を拾っていく戦いが必要」

 小倉監督がそう認めているように、なりふり構わず、負けない戦い方に舵を切ったことは現実的な判断である。横浜FMのエリク・モンバエルツ監督には、「3バックというより、5バック(苦笑)。名古屋は全員で守りを固めてきた」とまで言われてしまったが、置かれている状況を考えれば、それも仕方がない。

 しかし、重心を後ろに下げて戦った結果、無失点で終えることはできたが、その一方で、得点の可能性もほとんど感じられなかった。

 低い位置でボールを奪っても、そこでチーム全体がひと息ついてしまい、スローダウン。ロングボールは使わず、あくまでショートパスをつないで攻撃を組み立てようとするのだが、むしろ相手に守備をしやすくさせるだけだった。中盤ですぐにボールを失い、横浜FMの連続攻撃を浴びる結果となった。

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