監督の目に涙。「いいけど勝てない」
湘南スタイルは再生できるか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

「みんな課題しか口にしていない」と振り返ったのは、勝った川崎FのMF中村憲剛。「湘南はアグレッシブなチームなのでこういう試合になりがちだけど、自分たちでそういう展開にしてしまったのが悔しい」と、反省ばかりが口をついた。

 1stステージでも、壮絶な撃ち合いの末に4−4の引き分けに終わったこのカードは、今回も両者のスタイルがはっきりと打ち出された、期待にたがわぬ好勝負となった。

 湘南にとってのこの試合のテーマは、「原点回帰」にあった。ここ数試合は結果が出ないなかでやや守備的な戦いを選択していたが、今一度、本来の姿に立ち返ろうと準備を進めてきたという。つまりは「湘南スタイル」の再生である。

 マイボールとなれば手数をかけずに縦パスを供給し、チーム全体で素早いトランジションを実現しながら、なだれ込むように前線に人数をかけていく。「勇気」と「走力」が求められるこの湘南スタイルは、首位チームを相手にしても決して引けを取っていなかった。

 ハイプレスを仕掛けて出し手の自由を奪い、パスミスを誘ってはショートカウンターを仕掛ける。とりわけ動きが光ったのは、シャドーの1角を務めたFW高山薫で、まるで槍のように川崎Fの最終ライン裏をめがけ、何度もスプリントを繰り返した。

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