J1名門クラブが降格危機でハマる
「引き分け・勝ち点1」のワナ

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 小倉監督の気持ちはよく理解できる。勝ち点3が取れれば、降格圏からの脱出に一気に近づけるからだ。ただし、これこそが残留争いの難しい部分だろ う。私自身、現役時代に浦和で降格を経験したのでわかるが、引き分けて手にできなかった勝ち点2ばかりにとらわれていると、シーズンが深まるにつれて、そ れが焦りへと変わっていってしまう。

 焦りは勝負事に良い結果をもたらすことはないし、それによって過去に浦和やG大阪、清水といったシーズン前に降格が予想されていなかったクラブがJ2落ちを味わった。

 Jリーグ誕生時の10クラブのうち、いまだJ2降格経験を持たないクラブは鹿島、マリノスと名古屋の3クラブのみになった。その一角である名古屋をJ1に踏みとどまらせることができるのか、小倉監督の手腕に注目している。

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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