J1名門クラブが降格危機でハマる「引き分け・勝ち点1」のワナ (5ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 G大阪は、例年スロースターターということもあって、1stステージは6位。シーズン前に期待された攻撃陣が不振で苦戦したが、宇佐美貴史が抜け たことによって、選択肢が多すぎて混乱していた攻撃がシンプルになり、本来の姿を取り戻しつつある。リオ五輪代表としてMF井手口陽介とオーバーエイジ枠 でDF藤春廣輝を欠くことになるが、鹿島や浦和、川崎に比べると影響はそれほど大きくないといえる。

 チームにとってセンターラインのポジ ションの主力が抜けると影響は大きいが、藤春はサイドバック、井手口はG大阪ではレギュラーではない。G大阪はMF遠藤保仁を筆頭に経験抱負な選手が揃う ため、粘り強く勝ち点を拾っていくうちに調子を取り戻し、気がつけば2ndステージ制覇という可能性も大いにある。

就任1年目から苦戦が続く名古屋の小倉隆史監督就任1年目から苦戦が続く名古屋の小倉隆史監督 一方、残留争いに目を 向けると、名古屋の小倉隆史監督が苦しい状況に追い込まれつつある。1stステージは4勝5分8敗で勝ち点17の14位。2ndステージは開幕3連敗が響 いて1分3敗で17位と、苦境にあえいでいる。湘南や新潟も降格圏近くにいるが、名古屋との大きな違いは、彼らには残留争いの経験があるということだ。実 はこの差は大きい。

 基本的に優勝争いというのは勝ち点3を積み重ねていく勝負だが、残留争いは勝ち点1をどれだけ拾っていけるかどうか。そのため、引き分けに対して の捉え方として、残留争いの経験を持つチームや監督は、「勝ち点1」を積み重ねた事実を重視するが、残留争いの経験のないチームは勝ち点1を手にした事実 よりも、勝利できずに勝ち点2を逃したことを悔やむ傾向が強い。 実際、小倉監督も2ndステージ第4節の鳥栖戦で引き分けた試合後、勝ち点1を取れたことよりも、勝ち点3を取れなかったことを悔やむ発言をしていた。

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