豊田陽平が語る「イタリア人監督の要求とサガン鳥栖の変化」 (5ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

「スローモーションに見えて、何も考えていませんでした。平常心というか。(マーカーの)丸山(祐市)が目の前で先にジャンプしたんです。でも、 "そのタイミングじゃないだろ"と感じたのを覚えています。それで抜けてきたボールを、両足で飛んで当て、ニアの上を狙いました。コースは甘かったです ね。でも、強く当てられたんで、入ってよかったです」

 豊田はヒーローになる直前の光景を振り返る。

「(クロスが来る前に) ニアに動こうかな、と一瞬は思ったんです。我慢してよかったですね。裏で待てたからフリーになれたわけで。片足でスピードに乗ったまま入っていたら、体を ひねってファーにヘディングを飛ばすのも考えましたが、一度止まってのヘディングだったので、確実に飛ばせるニアを狙いました。もしファーに逸らしていた ら、GKは重心をファーに持っていたので、止められていたかもしれません」

 飛行機ポーズで逆転弾を祝った。これで、鳥栖は年間総合順位で降格圏内と言える15位から13位に浮上している。

「『つないでいこう』という監督のやり方が、一つの結果につながったのかな、と思います。前半からパスをつないでいたことが、東京にとってはジャブのようにきいていたのかもしれません。おかげで最後は、鳥栖らしい勢いが出ましたね。こういう勝ち方は、自信になります」

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