豊田陽平が語る「イタリア人監督の要求とサガン鳥栖の変化」 (4ページ目)

　豊田は論理的に説明する。

「守備の固さは、周りの人が言うほど意識はしてなかったですね。割とちょっとしたところを崩されてしまっ ていたので。固い、という印象はないです。少なくとも、"守れているんだから、あとは点をとるだけ"という意識はなかったですね。ただ、マッシモは守りに 関しては厳しい。イタリア流というか、サイドを限定したら、必ず一方に追い込んで、"絶対にサイドチェンジはさせるな"というのが厳命です。そこは少しも 手を抜かない。相手もうまいので、簡単にははめられないんですが」

　セカンドステージ開幕戦、FC東京とのホームゲームも、守備が瓦解する 場面はあった。サイドで数的優位を作りながらもたやすく突破されてしまい、中も人が揃っていたにもかかわらず、ゾーンにこだわりすぎたのか、敵選手を自由 にし、他愛もなく２失点。負けゲームに等しかった。

　ところがアディショナルタイム、鳥栖は見せ場を迎える。

　前線に長いボールが入ると、それを豊田が右サイドに展開、終盤に投入された早坂良太から池田圭へのクロスが合い、同点に成功した。さらに終了直前、カウンターから左サイドにボールが入ると、クロスに対して中央で待ち構えた豊田が、決勝点をヘディングで叩き込んだ。