「中澤佑二は衰えたのか?」という疑問について考察する (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 横浜FMは11位に終わった1stステージで19失点。際立って多いとは言えない数字だが、ここ数年と比べれば若干増加傾向にある。その原因が直接的に中澤だけにあるわけではないものの、彼のパフォーマンスの低下が影響を与えているのも事実だろう。

  では、中澤は本当に衰えてしまったのか――。もちろんフィジカル的な側面では、そうであると言える。たとえば、今回の福岡戦でも空中戦でFWウェリントンに競り負けるなど、高さと強さを備えた"ボンバーヘッド"はかつての威力を失っているように感じた。ただし一方で、その肉体的なマイナスを、「経験」という財産でカバーしていることも同時にうかがえた。

 ひとつは、そのウェリントン対策。ロングボールのターゲットとなるこの強靭なストライ カーに対し、自ら競りに行くことはあまりせず、その役割を相棒のDFファビオに託す。自身はやや余り気味に位置し、カバーリングの役割を担っていた。同時に後ろに余ることで、シャドーに位置する金森が飛び出してくるスペースもケア。おのずと最終ラインは低くなるものの、異なる特長を持った相手の前線に対抗するには理にかなった守り方だった。

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