宇佐美貴史のブンデス再挑戦を、戦友・遠藤保仁はどう見ているか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 J1に昇格した2014年は、パートナーや対戦相手によって自らの役割を変えつつ、ゴールを重ねた。リーグ戦ではシーズン10得点を記録。ベストイレブンに輝く活躍を見せると、チームは三冠(Jリーグ、ナビスコカップ、天皇杯)を達成した。宇佐美本人も、「攻撃において、やれないことが少なくなった」と、プレーヤーとして大きな自信を得た。

 ところが、昨季の8月からサイドハーフに配置されると、ゴールを決められない時期が続く。宇佐美自身「(思っていたよりも)サイドからの点の取り方に難しさがあった」と相当悩んでいた。

 その悩みは、今シーズンを迎えても解消されていなかった。解決の糸口さえなかなか見つけられず、ファーストステージ序盤はチームも低迷した。

 そうした状況の中で、宇佐美はある日、大事なことに気がついた。自身と同じようなポジションで、世界で活躍する選手たち、アトレティコ・マドリードのアントワーヌ・グリーズマン(フランス代表)や、バルセロナのネイマール(ブラジル代表)などの点の取り方を見て、点の取れるポイントに入ることの重要性を認識したのだ。

 そうして、Jリーグファーストステージ終盤の湘南ベルマーレ戦、浦和レッズ戦、サガン鳥栖戦と、3試合連続でゴールを記録。サイドからの点の取り方を完全につかんだ。

 宇佐美にとっては、ドイツに行く前に悩みが消え、すべてのパーツがそろったという感覚を得たに違いない。それゆえ、「すべてが成長した」という言葉が自然と出たのではないだろうか。

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