【恩田社長の600日】クラブ一丸で、目指すは超満員の15,000人

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 次の作戦は「ワールドカップ」という時事ネタに関連づける方法です。日本の初戦の相手はコートジボワールでしたが、幸運なことに、岐阜県内にコートジボワールと縁の深い方及び学校があったのです。毎年のように使用済みのシューズを大量に届け、名誉村長の称号を受けた方、そして毎年正月に日本に住むコートジボワール人が集まって、交流戦をしている中学校です。日本中のメディアが国内のコートジボワール関連のネタを探している中、岐阜県は宝の山でした。

 そんな状況の中、関わる人がみなハッピーになり、かつメディアが食いつく企画を懸命に考えました。その結果、以下のイベントを企画しました。

 試合の日に国内のコートジボワール人を集めて、中学校のサッカー部とピッチで前座試合を開催する。コートジボワールに送る使用済みシューズ及び、それを送るための寄付金をスタジアムで募る。クラブは使用済みサッカーボールを寄贈し、シューズとともにコートジボワールに届けてもらう。試合当日、コートジボワール料理の屋台と中学生が制作した「コートジボワール紹介ブース」の出展などなど。

 これらの企画を小出しにメディアへリリースし、中学校訪問やコートジボワール人の方との打ち合わせ風景など、絵になる機会を提供しました。この作戦は見事に当たり、連日何かしらの形で取り上げてもらいました。当日の前座試合については、全国ネットで取り上げられました。コートジボワールのおかげで、岐阜県の名前が全国に出ました。実はこれこそFC岐阜の担う役割のひとつです。岐阜がコートジボワールとこんな心温まる取り組みをしていること、これをFC岐阜というフィルターを通すことにより、発信力を高めて情報を広めることができるのです。

 もうひとつ、私はここぞとばかりに切り札を使います。それは監督・選手による試合のPRです。具体的には、ラモス監督によるチラシ配布や、チケット購入者が参加可能な川口選手のトークショーなどを行ないました。

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