フットサル界のレジェンド。甲斐修侍が「引退を決めた理由」を語る (4ページ目)

  • 河合拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • 高須力●撮影 photo by Takasu Tsutomu

photo by Takasu Tsutomuphoto by Takasu Tsutomu 俺としては、開幕前に言っておかないと、それ以降どのタイミングで発表しても不自然になると思ったので、「今年で終わります」っていうのを公(おおやけ)にしてもらいました。それで自分にプレッシャーをかけて、本当に最後なんだと思いながら、1日1日を楽しみたいと。

 発表した日は、ありがたいことに電話やメールをたくさんいただきました。でも、俺が引退することは不思議なことではありません。むしろ、とっくに引退していないといけなかったくらいです。

 3~4年くらい前は、がんばってメンバー争いをしてその座を勝ち取っても、「俺がいなかったら、若い子がメンバーに入れていたのではないか?」と考え、後ろめたくなることがありました。そのときは、「40歳くらいの選手に負けている若手にその座を明け渡したところで、彼らのためにはなりませんよ」と助言をしてくれる人がいて、俺が鼻息荒く一生懸命やることで監督がメンバーに選んでくれるなら、若い選手にも「何かが足りないんだ」と気づかせる意味があるので、「すべてが悪いわけではないかな」と開き直りました。

 今の若い選手たちは、みんな圧倒的に俺の若いころよりもいい選手です。俺らがフットサルを始めたときなんて、前後半プレーイングタイムでも、フル出場していた時代です。当時のフットサルは、それが可能なくらいのペースがありましたが、今のFリーグではそんなことは考えられません。ハードワークしないといけないし、ゲームのスピードも、展開力も、フィジカルベースも上がっています。

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