フットサル界のレジェンド。甲斐修侍が「引退を決めた理由」を語る (2ページ目)

  • 河合拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • 高須力●撮影 photo by Takasu Tsutomu

 ところが、いざシーズンが始まると、チームはまったく勝てなかった。俺はコンディションやケガの不安もなく、リーグ戦36試合中33試合くらいに出場していたのですが、ただ試合に出ていただけ。何もやり切っていないシーズンになってしまい、煮え切らない想いがあって、翌シーズンもプレーしたいと思いました。そのときに、もう本当にできないと限界を感じるまでは、「引退する」と公式に発表するのはやめようと思ったんです。

 一方で、「今年が最後」と周囲に言うことで自分にプレッシャーをかけたかったし、その気持ちで毎年プレーすることが年齢的にも普通のことだとも思っていました。「今年で引退する」というのは毎年言っていたので、そのなかでシーズンが佳境を迎えたとき、どういう状況かによって辞めようと決めていたんです。

 だから本当は、昨シーズンかぎりで辞めようと思っていました。若手もすごくいい選手が出てきていますし、全日本選手権に優勝してタイトルを獲ることもできましたから。終わり方としても、すごくきれいだったと思ったんです。

 仮に自分がまったく出場していなかったら、「引退しよう」と思わなかったかもしれません。納得いくほどチームに貢献したわけではないですが、3試合とも出場できての優勝だったので、「引退するのはこのタイミングかな」と感じました。

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