サガン鳥栖がEUROのイタリア風に? 「つなぐ」効果で劇的勝利 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 しかし鳥栖を率いてからのフィッカデンティは、つなぐことを求めているのだ。

 その変化は、EUROを戦うイタリア代表にも通じる。アントニオ・コンテ監督はスペイン代表を相手にポゼッションを高めつつ、センターフォワードへの長いボールも有効に使い、ボールを失ったら窒息させるプレッシングを行なう能動的フットボールで一つの成果を得た。GKブッフォンを中心にした守備陣の堅牢さはそのままに、旧態依然のカルチョを改革したのだ。

 FC東京戦、鳥栖の決勝点はカウンターからだった。結局はポゼッションが得点に至ったわけではない。はっきり言って、タイミングとしては長いボールを蹴るほうが有効な場面もあった。相手のセンターバックは、それだけでもっと消耗していたはずだ。

 しかし、今はプレー理念を模索する段階なのだろう。選手たちは失敗しても、大きな迷いはない。判断とスキルの精度を上げつつ、逆転勝利のような手応えによって、一つ壁を乗り越えていく。

「東京のようなすばらしい選手たちがいるチームに対し、しっかり勝ち点3を勝ち取れたのは冷静にプレーできた結果」

 フィッカデンティは誇らしげだったが、失点シーンには釘を刺している。

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