王者サンフレッチェ、苦境の「4位」は、むしろ賛辞を贈りたい (2ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 京都サンガから加入したMF宮吉拓実にしても、広島のサッカーに慣れるまで苦労して、当初は先発どころか、ベンチに入ることも難しかった。使えるめどが立ったのは、ファーストステージ終盤になってからで、第14節のアビスパ福岡戦でようやく2得点と結果を出した。

 このオフ、大規模な戦力補強を行なってAFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)に出場した他の3チーム、ガンバやレッズ、FC東京とは、明らかに事情が違う。それでも広島は、既存の選手たちの踏ん張りと、経験を積ませた選手たちの成長によって、ACLを並行して戦うファーストステージを4位という好位置で終えた。3月から5月にかけての連戦をよく乗り切ったと、むしろ賛辞を贈りたいくらいだ。

限られた戦力の中でよく戦っているサンフレッチェ限られた戦力の中でよく戦っているサンフレッチェ そのファーストステージを振り返ってみても、広島は一度も連敗していない。加えて、比較的日程が緩和された第14節からの5試合(未消化だった第10節を含む)では、3勝2分けという成績を残している。

 厳しい戦いが続く中で、リズムをつかむきっかけとなったのは、第13節のガンバ大阪戦だった。昨季のチャンピオンシップでもしのぎを削り、嫌と言うほど特徴を理解している相手に、1-3で完敗した。自身J1通算400試合出場という節目の試合でもあったMF森﨑和幸が、その一戦を振り返る。

「(ガンバ戦は)簡単に言えば、攻守ともにリアクションになってしまって、自分たちから何も起こせなかったんですよね」

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