優勝にも厳しい表情。小笠原満男に見る常勝アントラーズのDNA (3ページ目)
とはいえ、ステージ優勝は単なる通過点に過ぎない。試合終了後、石井監督やチームメイト、スタッフ、そしてファンやサポーターと喜びを分かち合った小笠原は、スタジアムをあとにする頃には、すっかり先を見据えていた。
「もっと点が取れるチャンスがあったのに取れなかった。失点してもおかしくない場面も何度かあった。勝ったからよかったじゃなく、内容に目を向けないと。チームとしてまだまだ改善するべきところがある」と、厳しい表情を崩すことなく、チームの課題を口にした。
思えばファーストステージ第15節、浦和レッズとの“大一番”でもそうだった。当時2試合未消化だった暫定3位の浦和は、優勝を争う当面の相手。その難敵に敵地で2-0と快勝しながら、小笠原はニコリともしなかった。
「もっといい試合をしないと」
そう言い残して、足早にミックスゾーンから立ち去った。
「今日、勝っただけで満足していたらいけない。何も成し遂げていないのに、いつまでも喜んでいられない」――そんな内なる声が聞こえてくるようだった。夢半ば、充実感や達成感のかけらもなった。
7月2日から早くもセカンドステージが始まる。小笠原が心底喜びを爆発させるのは、チャンピオンシップ制覇の瞬間だ。その貪欲さこそが、鹿島の真髄であり、大黒柱たる小笠原の矜持に他ならない。
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