【恩田社長の600日】チームの強さと観客動員数が比例しない難しさ (4ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi  photo by AFLO

 その後、負けているときの集客の難しさは、2015年シーズンに嫌というほど経験しましたが、勝ったり負けたりの2014年も私の懸念どおり、その後のホーム試合の観客数は伸び悩みました。

 強いだけではダメなのです。「FC岐阜が強いことを嬉しく、誇りに思う」という関係性を作らなければ、集客にはつながりません。残念ながら、サッカー観戦という文化が醸成されていない岐阜県では、「今年は強いらしいね!」 「川口さん、この間テレビで見た。男前やね!」という会話はあっても、スタジアムに足を運ぶことにはつながらないのです。

 スポンサーとの関係にも、似たようなことがあります。よく、「FC岐阜がもっと強くなって、盛り上がれば、いくらでもお金出すよ!」とお話しされるスポンサーの方がいらっしゃいます。J1まで行けば話は別ですが、中途半端に強くなっても、地域が盛り上がるとは限りません。サッカーの試合だけでは、FC岐阜の価値は感じてもらえないのです。

 そんな状況の中であっという間に時は過ぎ、4月24日の株主総会を経て、正式に社長に就任しました。観客数は、間違いなくクラブ経営をする上で最重要指標です。私も就任後、集客に徹底的にこだわることになります。私が行なった集客術については、次回以降詳しく書きます。最も筆が進む部分です。お楽しみに。

(つづく)

◆FC岐阜・恩田社長の600日 記事一覧>>

【profile】
恩田聖敬(おんだ・さとし)

1978年5月10日、岐阜県生まれ。岐阜北高―京都大―京都大大学院を修了し、2004年にネクストジャパン入社。ゲームセンター店長など、アミューズメント、エンターテインメント系の仕事に従事し、キャリアを積む。2012年、ネクストジャパンホールディングスがJトラストに吸収合併されて、同社に移る。2014年から岐阜フットボールクラブ代表取締役社長に就任。2015年1月、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の発症を公表し、2015年11月、社長退任を発表した。先日、クラウドファンディングによる新規事業を展開していくことを発表。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る