【恩田社長の600日】チームの強さと観客動員数が比例しない難しさ

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi  photo by AFLO

 話を勝敗に戻します。

 よく「強くなればお客様は自然と増える。とにかく勝てるチームにしよう!」という話をしている方がいますが、本当にそうでしょうか。強くて勝てるチームを作ることに何の異論もありません。しかし、それで自然とお客様が増えるかというと、私はそうは思いません。社長就任前の、2014年シーズンの最初に恐怖体験をしているからです。

 2014年3月2日、J2開幕戦です。FC岐阜は昇格した讃岐をホームに迎えました。ラモス瑠偉監督、川口能活、三都主アレサンドロの加入により、連日メディアを賑わせており、どこまで観客数が伸びるか把握しかねる状況でした。かく言う私は、当時は株主総会前のため、「社長付」という立場をいただき、意思決定には参加せず、ひたすら状況把握に努めていました。

 当日、開門を待つ長蛇の列、チケット売り場に並ぶ長蛇の列、駐車場を待つ長蛇の列、万全の態勢でお迎えできたとは言い難い状況でした。しかしながら、試合そのものは新生FC岐阜の魅力が、存分に感じられる内容でした。難波宏明、ナザリト、高地系治がそれぞれの特性を生かしゴールを奪い、守護神・川口のファインセーブ、そしてラモス監督の好采配の結果、3対1で勝利を収めました。

 実は、この試合は私が初めて見たJリーグ公式戦でした。素直に「サッカーって楽しいやん!」と思いました。サッカー素人の私がそう思えたので、いい試合を目の前で見せることができれば、何かしら伝わるものがあると感じました。

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