【恩田社長の600日】「岐阜」と「ぎふ」。そこにあるクラブ運営の難しさ

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 岐阜県は政策的に岐阜県全域を指す場合、「ぎふ」というひらがな表記を使っています。私もそれに習い、在任中には積極的に利用しました。というのは、「岐阜」と書くと岐阜県ではなく岐阜市や、後述する岐阜地域を指していると誤解を受けることが多々あるからです。私の文章においても、上記のように漢字とひらがなを使い分けたいと思います。

 前置きが長くなりましたが、ぎふとFC岐阜の関係性についてお話ししていきます。

『FC岐阜』は、岐阜県唯一のプロサッカーチームです。チームを運営するのは、株式会社岐阜フットボールクラブ。選手を除けば、スタッフ総勢30~40名の典型的な中小企業です。Jリーグに加盟することをきっかけに株式会社化されますが、株主名簿を見ると、岐阜県及び岐阜県下全42市町村が株主に名を連ねています。県下全域をホームタウン(活動対象地域)としてかつ、ホームタウンのすべての市町村が株主なのは、Jリーグの中でもめずらしいクラブだと聞いています。

 この部分だけを見ると非常に恵まれた環境に見えます。しかし、現実はそんなに甘くはありません。岐阜県は東西南北に広く、5地域に分かれており、地域によって気候も文化も経済圏も分かれています。

 例えば、岐阜県外の方もご存知の飛騨地域は、雪深く、世界遺産の「白川郷(合掌造り)」や下呂温泉や高山祭、そして飛騨牛と観光資源に恵まれています。近年では、北陸新幹線が開業し、首都圏も商圏となり、外国人観光客の誘致も含めて気を吐いています。

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