2016.05.24

かつての宿敵ヴェルディ戦に見る、J2清水エスパルスの凋落

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 好選手がいるのは間違いない。サッカー王国の土壌か、FW北川航也のようなルーキーも引き続き生み出している。しかし、“チームとしてどんな戦い方をするのか”のメッセージは希薄だった。

 これは、過去のツケを支払っている、と断じざるを得ない。

 2014年途中まで3シーズン半チームを率いたアフシン・ゴトビは、監督就任以来、多くの主力選手と決別している。ゴトビは理論家だったが、それは実現性が乏しく、ベテラン選手たちの信望を欠いた。結果、指揮官はベテランの存在を疎(うと)んじ、若く有望な選手にポジションを与えている。これによって、然るべき競争や向上の回路が乱され、伝統の継承も失われてしまった。

 当時の若手は今も伸び悩んだままである。ポジションを勝ち取ったわけではない選手には、正当な競争力が身についていなかった。チームとして戦いが確立しておらず、ヴェルディ戦の先発もケガ人の影響があったとはいえ、前節から6人もの選手が入れ替えられていた。一瞬の力は出せるが、90分、1シーズンという長いスパンで力が出し切れない。

 敗れたエスパルスイレブンは、ゴール裏への挨拶でうなだれていた。悄然(しょうぜん)としたまま、表情に精気がない。この黒星で10位に転落。J1復帰に向け、苦悶は続くだろう。

 熱い気持ちをどこにぶつけていいかわからないサポーターが、悲鳴のような叱咤を浴びせていた。

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