かつての宿敵ヴェルディ戦に見る、J2清水エスパルスの凋落

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 その後も、MF藤本淳吾(現ガンバ大阪)、FW岡崎慎司(現レスター・シティ/イングランド)など日本代表選手を輩出し、天皇杯、ナビスコカップでは何度なく決勝を争ってきた。エスパルスは常に、Jリーグの中心に居続けてきたと言える。

 それだけに、降格はひとつの事件だった。

 では、復権を期すエスパルスは「J2、1年目」をいかに過ごしているのか?

 J1から降格してきた多くのチームにとって、J2は沼地のようにも映るという。もがけばもがくほど、足を取られる。"王国の末裔(まつえい)"も泥にまみれるのか――。

 この日、エスパルスは鮮やかなショートカウンターで先制に成功している。

 前半6分、MF白崎凌兵が出足よく敵陣でボールを奪うと、MF大前元紀に預ける。そのまま左サイドを駆け上がった白崎はリターンを受けると、左足で豪快にファーサイドに蹴り込んだ。

 白崎はこのあとも何度か好機を得て、攻守にセンスを迸(ほとばし)らせる。今シーズンJ2最多の9得点を記録している大前との攻撃コンビネーションには、可能性を感じさせるものがあった。

ヴェルディ戦でエスパルスは先制ゴールを奪ったが......ヴェルディ戦でエスパルスは先制ゴールを奪ったが...... しかし、追加点が奪えない。

「負けが込んでいたので、精神的に"負けの道"に入ってしまいそうなところ、今日は踏ん張れた」(ヴェルディ・冨樫剛一監督)

 相手を屈服させられず、エスパルスは次第に流れを失う。

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