かつての宿敵ヴェルディ戦に見る、J2清水エスパルスの凋落

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 2016年5月22日、味の素スタジアム。J2第14節、東京ヴェルディvs清水エスパルスの観客数は8792人だった。ゴール裏に陣取ったサポーターの声量は豊富だったが、スタンドには空席が目立っていた。

 20年以上も昔、Jリーグ草創期のヴェルディ対エスパルスは"黄金カード"のひとつだった。Jリーグ開幕前の1992年ナビスコカップ決勝、翌1993年のナビスコカップ決勝でも激突し、覇権を争う宿敵同士でもあった。

 ヴェルディには、三浦知良、ラモス瑠偉、武田修宏、北澤豪、柱谷哲二、ビスマルクらスター選手がズラリ在籍。彼らが半ば国民的人気を誇って、Jリーグブームを牽引していた。エスパルスも、長谷川健太、大榎克己、堀池巧、澤登正朗ら、高校時代から名を馳せた地元の人気選手が活躍。「サッカー王国・静岡」の顔として、サッカー界を盛り上げていた。

 しかしヴェルディは、2008年にJ1復帰を果たすも即J2へ降格。そこから這い上がれず、栄光の記憶はすでにセピアに染まりつつある。

 一方のエスパルスは昨シーズン、クラブ史上初めてJ2に降格している。

 エスパルスは1996年、オズワルド・アルディレス監督とスティーブ・ペリマンヘッドコーチの体制で、初のタイトルとなるナビスコカップを獲得。1999年にはセカンドステージで優勝し、GK真田雅則、DF斉藤俊秀、DF森岡隆三、MFアレックス(三都主アレサンドロ)、MF伊東輝悦、MF澤登の6人が、シーズンベストイレブンに選出された。

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