柿谷曜一朗の「代表復帰」を後押しできない、古巣セレッソの迷走 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO SPORT

 そのうえ、柿谷の前には3トップがいるため、トップ下からスピードを生かして走り込むスペースを見つけるのも難しい。柿谷はこの試合、かつても一緒にプレーしていた杉本との細かいパス交換から1ゴールこそ決めたものの、ブラジル人選手とは、ついにかみ合うことがなかった。

 それぞれの選手がバラバラにプレーした結果が、山口に何度も効果的なカウンターを浴びての2-4の完敗である。

 これでは、さしもの柿谷も、持てる力を十全に発揮するのは難しい。スピードもテクニックも持て余したまま、どこか窮屈そうにプレーしていたのが印象的だ。

 現在26歳の柿谷は、いわゆる“ロンドン世代”。年齢的には、2年後のW杯ロシア大会で主力となることが期待される世代の選手である。W杯には2年前にも出場しているとはいえ、それが最後になるような年齢ではない。

 徳島ヴォルティスへの期限付き移籍を経て、セレッソで急成長した2013年。一時は日本代表にも定着し、エースストライカーとして期待されたが、2014年のバーゼル移籍以降はすっかり影が薄くなってしまった。

 それでも、柿谷は年齢的に見てこれからが円熟期である。古巣にして、柿谷が最も愛するクラブ、セレッソに復帰したことをきっかけに柿谷が再び覚醒すれば、セレッソばかりでなく、日本代表にとっても頼もしい戦力補強となる。

 当然、それが実現する可能性は十分にある。

 だがしかし、そのためにも、まずはセレッソというチームが、正しい針路を取り戻す必要がありそうだ。

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