勝利も初優勝も。フロンターレの命運を握るのは、大島僚太の出来 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

「逆転していたので、無理して(攻撃に)行っても(仕方がない)、という感じだった。センターバックに負担がかからないよう、カウンターを受けないようにした」

 若き背番号10が見せた、抜群の舵取りだった。

 会心の勝利で暫定ながら首位に立った川崎。川崎が川崎らしさを発揮して勝利を手にするには、やはり大島の存在が欠かせないということだ。

 振り返れば、同じホームの等々力競技場で行なわれたJ1第10節、川崎はベガルタ仙台を相手に1-1で引き分けた。この試合、大島は無難に後方でパスをさばくばかりで、相手にまったくと言っていいほど脅威を与えられなかった。

 この対照的なふたつの試合から見えてくるのは、よくも悪くも大島の出来こそがチーム全体の出来を一変させてしまうということ。大島の出来いかんで、川崎は自分たちらしいパスサッカーを取り戻すこともできるし、失うこともあるのだ。

 仙台戦のあとは、大島に対して厳しい言葉を並べた中村が、この日は一転、穏やかな笑みを浮かべて語る。

「(大久保)嘉人やオレを見てプレーするんじゃなくて、僚太にはもっと自分発信でプレーしてほしい。オレらがアイツのプレーに引きずられるようになれば面白くなる」

 川崎悲願の初戴冠がなるかどうかは、大島がカギを握っている。どうやらそう考えて間違いなさそうだ。

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