新連載スタート! FC岐阜・恩田元社長から届いたJへの伝言 (3ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 そして、この4月に開催された株主総会をもって、取締役の任期を終えて、名実共にFC岐阜のクラブ経営から離れました。何らかの形でクラブに残って欲しいというありがたいお話もいただきました。悩みましたがお断りしました。

 私は、社長辞任の際に行なった記者会見における「やり残したことはありませんか?」という質問に対して、「やり残したことしかありません。」と答えました。FC岐阜の社長という仕事は、私にとって面白すぎました。やらせていただけるなら、何年でも続けたいと思う「天職」でした。

 自分の経営者としての能力に失格の烙印を押されるのであれば納得出来ます。もちろん、能力も半人前でしたが、「ALSにならなければ......」という思いが消えることはありませんでした。初めて、仕事において悔し涙を流しました。そんなFC岐阜と中途半端に関わることは、自分も周りもつらくなると思い、クラブを離れました。

現在の恩田氏。今月、新規事業の取り組みを発表した.。(C) DARUMA 尾崎芳弘現在の恩田氏。今月、新規事業の取り組みを発表した.。(C) DARUMA 尾崎芳弘

 これからは1サポーターとしてFC岐阜を応援していこうと思います。2016年シーズンが始まって以来、ホームの試合の際は運営から離れて、スタジアムを顧客目線で回っています。有難いことに、社長退任後もサポーターのみなさまやスポンサーの方々から、温かいお言葉をいただいております。また、4月17日の役員任期最後のホームゲームでは、相手方の松本山雅FCサポーターが、ねぎらいの横断幕を掲げてくれました。本当に嬉しかったです。

 社長在任中から今に至るまで、お世話になった方々に対して、今の自分の立場で出来ることは何なのか。そう考えた時に、私の社長在任期間600日間に関して書き記すことを思いつきました。社長として自分が何を成し得たのかは、もう少し時が経たないと分かりません。しかし、私が何を思い、何を目指してFC岐阜を率いていたのかを、たくさんの方に知ってもらうことで、「FC岐阜」のためだけでなく、スポーツを通して地域を元気にという活動に携わる、多くの方々の一助になればと思います。

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