サガン鳥栖の選手いきつけの店で思う。「愛されるクラブ」の流儀 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 鳥栖駅の隣という、日本一便利な立地のベストアメニティスタジアムには、ホームゲームになると2万人ものファンが訪れる(鳥栖市の人口は7万人!)。ピッチに立つ選手が肌で感じられる熱気のおかげだろう。これまで新居辰基、藤田祥史、ハーフナー・マイクらゴールゲッターが感化され、J2得点王、日本人得点王に輝いている。他ならぬ豊田も、くすぶっていた時期にJ2の鳥栖で得点王を獲得し、同時にJ1昇格を成し遂げたのだった。

『うらら』の他にも鳥栖には憩いとなる場所はいくつもある。「我が店のほうが鳥栖らしい!」。そういう声があって当然だろう。ただ、そこで分を守り、意地を張り合わないのが、鳥栖人なのかもしれない。

「悪いときは、もっと厳しく言ってもらってもいいんですけどね」

 選手たちが、その慈悲深さに注文をつけるほど、鳥栖の人々は寛大な心で向き合える。

 とにかく、小さな町はサッカークラブと密接に結ばれている。

 新監督マッシモ・フィッカデンティはまだ『うらら』に足を運んでいないという。鳥栖をJ1に導き、さらには優勝争いまでした韓国人監督のユン・ジョンファンは暖簾をくぐった。そして心ゆくまで食事を楽しんだという。

 イタリア人監督もさっさとこの店のマルゲリータを食してみたほうがいいのではないか。
 

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