ヒントは浦和にあり。福田正博が提案する「日本らしいサッカー」 (5ページ目)

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 ペトロビッチ監督が志向するサッカーは、体のサイズ的にも日本人向きだろう。また、世界的なスタンダードであるワントップを採用しているが、その選手に求める役割は、世界のトレンドとは異なり、日本人に適したものになっている。

 一般的に、ワントップのFWは体を張ってボールをキープして、攻撃の起点になり、競り勝ってゴールを決めることを求められる。だが、ペトロビッチ監督のサッカーでは、ワントップは味方と連動しながらポジションを変えていき、相手CBとの競り合いやフィジカルコンタクトはそこまで多くない。そのため、特別なフィジカルの強さを要求されない。

 もちろん、攻守においてFWとCBは体が大きく、高さと強さがあるに越したことはないが、そうした選手が日本人には少ない。サイズが足りないと嘆く前に、足りない部分をどう補うかを考え、その方策を練っていくことが重要ということだ。

 私自身、ペトロビッチ監督を日本代表監督に推薦したいと言っているわけではない。浦和でやっているサッカーを、そのまま日本代表に持ち込んでも成果はすぐに出ないと思っている。

 ペトロビッチ監督が志向する「やや特殊」ともいえるサッカーで成果を出せるのは、選手全員が長い期間一緒に練習して、成熟度を高めていけるクラブチームだからだ。しかし、代表チームは選手が一緒に練習できる期間が限られる以上、ペトロビッチ監督のサッカーをやれと言っても、すぐに実行することには無理がある。

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