2016.05.06

フロンターレを強くするのは、「中村憲剛・35歳」という存在である

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 大島は0-1で迎えた後半73分、右サイドをドリブルで突破し、最後はニアサイドにあいたわずかなコースを狙い、ゴールネット上部にシュートを突き刺した。中村が「誰も見たことがないようなゴール」と評するスーパーゴールである。

 しかし、試合全体を通して見れば、大島の影は薄かった。中村に「我が強いベテランがいるから遠慮しているのかもしれないけど……」と言われてしまう状態だった。中村は試合後、取材エリアに止まっていた時間のほとんどを使い、大島がどうすべきだったのか、大島にどうしてほしかったのかを、熱っぽく語っていた。

 若い選手が成長するうえで、すなわち、チーム力を維持しながら世代交代を進めるうえで、こうしたことを伝えられるベテランの存在は大きい。

 経験の少ない若手は、ときに迷いながら、手探りで試合に臨むことが当然あるだろう。あるいは、いい意味で調子に乗り、勢いに乗ってプレーしていたとしても、ちょっとしたきっかけで自信を失うこともあるだろう。

 そうしたときに、的確にアドバイスできるベテラン選手が近くにいるかどうかで、若い選手のその後の成長度合いも変わってくる。

 大島ばかりではない。この試合で途中出場した19歳のMF三好康児のように、川崎では自前の育成組織からも若い選手が育ってきている。未来に大きな可能性を秘めた選手がそろうクラブだからこそ、中村のような選手の存在意義は大きい。