レスター流は日本人には不向き? カウンターサッカーに必須の選手とは (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 一般的に、サイドでの守備は相手ボールホルダーをサイドラインに追い込み、中央に侵入させないようにするのがセオリーだ。しかし、中央に高さと強さを兼ね備えるCBを擁する場合、これとは真逆の守り方でも問題ない。

 つまり、サイドではなく、中央におびき寄せて自軍のストロングポイントであるCBでボールを奪う。一般的にはサイドを破られたとき、CBはサイドにスライドしてカバーリングをすることもあるが、強力なCBがいるチームは、CBがサイドにつり出されることを避けて、中央でブロックを築いて相手とボールを待ち構える。

 サイドからクロスボールを入れられても、中央で跳ね返せる高さとフィジカルの強さへの絶対的な自信があるからだ。また、ゴールマウスの位置が動くことはないため、最終的には相手選手とボールはゴールに寄ってくるので、そこで待ち構えてボールを奪うという考え方が根底にある。

 これに近い守備戦術は、現在、岡崎慎司の所属するレスターをはじめ、プレミアリーグ上位のクラブでも見受けられる。プレミアリーグには屈強で長身のCBが揃っているためであるが、Jリーグでこうした守備をするチームとして思い浮かぶのは、ストイコビッチ監督が率いていた頃の名古屋グランパスだろう(2008年~2013年)。

 名古屋が優勝した2010年当時、田中マルクス闘莉王と増川隆洋(現・札幌)という「高くて強いCB」と、中盤の底に「大型MF」のダニルソン(現・福岡)がおり、さらに楢崎正剛というGKがいた。また、FWにケネディという「大型センターフォワード(CF)」がいたことも大きい。そうして、守備を固めてカウンター攻撃を仕掛ける戦術が実現できていたのだが、サイズのあるCBとFWに人材が不足するJリーグでは、この戦い方を実行するのが難しい面もある。裏を返せば、CBとCFが「日本人のウィークポイント」ということでもある。

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