レッズに「ケンカ負け」。フロンターレが首位決戦で圧倒されたわけ
ハイプレスをかいくぐると、大きなスペースが目の前に広がっている。その誘惑に引き寄せられるかのように、川崎は一発のパスを狙う場面が多かった。背後から追いかけてくる李らの足音も、心理に影響したかもしれない。確かに一発を狙って、うまく裏を取れる場面もあったが(例えば、後半27分の場面。中村のパスにサイドバックの車屋紳太郎が抜け出し、あわやというクロスを上げた。MF森谷賢太郎が突っ込んだが届かず)、常に前へ急いだらバテてしまう。
後半、風間監督は3バックに変更し、さらに攻撃時には左サイドハーフの登里をトップ下に移動させた。登里はフリーマンのようになり、この采配が当たったかに思われた。現に失点する後半9分までの間に、川崎は7回もチャンスを作っている。が、いずれも縦に速い攻撃で息をつく暇がなく、中盤の選手に大きな負担がかかった。
失点シーンのときに、中村の足が止まってパスコースを空けてしまい、MF大島僚太が直前に額の汗をぬぐっていたのは、攻め疲れの影響と解釈できる。
もし90分間をトータルで戦うことを意識し、攻め急ぎすぎず、相手のプレスに怯えすぎず、もっと中盤でブレーキをかけて押し込むことを試みていたら、ここまで「いつもと違う形」にならなかったのではないだろうか。
Jリーグの魅力を上げるには、ビッグクラブとそれに対抗するライバルの存在が必要である。浦和と川崎は両者になれるポテンシャルを持つ。次回の対戦時には、ケンカが一方的にならず、Jリーグの価値をさらに高めるような接戦になることを期待したい。
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