日本サッカーを支える巨大施設に込められた、元教師の「部活への思い」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 しかし、その一方で、"阿部先生"は「スポーツが教育であるならば、あいさつや態度も大事」と、最近の子どもたちに苦言を呈することも忘れなかった。


「自分が監督をやっていたころとはまったく比べものにならないくらい、今の子どもは技術的な進歩はすごいけど、あいさつができなくなっている。この施設には温泉やレストランがあり、(サッカーとは関係ない)一般のお客様も利用されているので、『そういう人たちと会ったときには、あいさつするように』という指導はしています」

 決して精神論を振りかざしているわけではない。

「施設を利用する一般の人が、『サッカーっていいな』『自分の子どもにもサッカーさせたいな』って思うような雰囲気を作りたい」

 阿部さんはそう考えているからだ。時之栖スポーツセンターはただ単にお金を取って、施設利用を提供するだけの場所ではない。そこでは商売よりも、むしろ本気で日本サッカーの強化が優先されているかのようだ。

 そんな日本最大級のスポーツ施設は、その充実した設備を生かし、今では高校サッカー強化の拠点として知られるようになっている。
(つづく)

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