J2復帰したばかりで堂々2位。町田ゼルビアの強さは「本物」か

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 それまでの5連勝にしても、決して相手をねじ伏せてきたわけではない。リードしたあとはDFラインが下がってしまい、防戦を強いられることも珍しくなかった。にもかかわらず、修正を怠ったことを守護神は悔やんだ。

 キャプテンのMF李漢宰(リ・ハンジェ)もまた、「これがJ2だと思い知らされる結果だった」と言い、厳しい言葉を並べる。

「いつも以上にDFラインが下がるのが早かった。チャレンジャー精神で戦うと言いながら勝利を意識するのが早く、チャレンジャー精神を失うのが早かった。後半押し込まれる試合が続いている。これでは勝ち続けられない」

 悪い意味で調子に乗ることなく、冷静に自分たちを客観視する姿勢を失わない限り、町田が大崩れすることはないのだろう。

 だが、それでも試合を重ねるうちに他クラブによる分析も進み、今までのようには勝たせてもらえなくなる。しかも、町田は使用スタジアム(町田市立陸上競技場)などがJ1基準を満たさないため、現時点では来季J1昇格の資格を有していない。その分、ノープレッシャーで戦えるとも言えるが、好成績を残せば残すほど、逆にモチベーションが低下していく可能性もある。町田にはこの先、いろいろな意味で難しい戦いが待ち受けているのだ。

 キャプテンの李は全42試合の長丁場を戦い抜くことの難しさを知るからこそ、首位セレッソを勝ち点3差で追う望外の状況にも顔色を変えず、きっぱりと言い切る。

「自分たちを見失わないよう、いい準備をして自分たちらしく戦いたい」

 22番目のチームのチャレンジは、まだ始まったばかりである。

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