就任1年での2トップ。福田正博が見た「ハリルホジッチ監督の変化」 (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nakashima Daisuke

 ハリルホジッチ監督の変化やチームの進化は、アフガニスタン戦の試合中にも見られた。試合が中断した時に、これまでならピッチサイドに選手を呼び寄せて監督が指示を出していたが、アフガニスタン戦ではGKを含めた選手全員が集まって意見を交わすシーンがあった。選手たちの自主性を尊重したのは、ハリルホジッチ監督が日本代表を率いた1年間で、日本人特有のメンタリティをつかんできたことの表れでもある。

 これまでは、海外クラブや各国代表を指導する際に使ってきた "ハリルホジッチ流"を押し通したことで、日本代表では彼の強いメッセージが選手たちを萎縮させ、結果的に日本代表から柔軟性を奪っていたと気づいたのだろう。

 こうした変化は、今後の日本代表にとって大きな意味がある。サッカーについての見識や手腕、実績は申し分ないハリルホジッチ監督が、日本代表を率いるうえで欠かせない日本人特有のメンタリティを理解する姿を見せた。そのことで、その指導力がこれまで以上の効果を生む可能性が高まったと思うからだ。

 9月1日からホーム&アウェーで行なわれるW杯最終予選で4つの出場枠を争う国が出揃った。サウジアラビア、UAE、オーストラリア、カタール、中国、イラン、シリア、タイ、イラク、韓国、ウズベキスタン。12カ国が6チームずつに分かれた長丁場の戦いを勝ち抜くため、ハリルホジッチ監督が日本代表チームをどう作っていくのか。高い関心をもって注視していきたい。

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