川崎Fと鹿島がⅤ候補であることを改めて証明した「天王山」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 確かに鹿島は、この試合に関して言えば、攻撃の多彩さでも川崎を上回っていたのは間違いない。MF遠藤康が、あるいはMF土居聖真が、数多くあった決定機のひとつを決めていれば、問題なく鹿島が勝っていた試合だろう。

 その意味では、鹿島にとっては勝ち点2を失った試合とも言える。しかも、鹿島は前節終了時点で失点は1でリーグ最少ながら、得点もわずかに4で、下から数えて2番目(他に4クラブが並ぶ)という少なさ。数字上は、得点力不足が足を引っ張っているようにも見える。

 だが、そんな見方を当の選手は否定する。この日、先制点を叩き出したMFカイオは、「どうしても決定力不足と言われてしまうが」と前置きをし、こう語る。

「内容的に押していたし、チャンスも作れた。チャンスが作れていないと厳しいが、チャンスは作れている。チーム内の雰囲気も悪くない。今やっていることを続けていれば結果はついてくると思う」

 さて、一方の川崎。「自分たちらしいリズム(でできた時間)はすごく短かった」という風間八宏監督の言葉にも表れているように、試合全体を通して見れば、川崎が劣勢だったのは確かだ。

 キャプテンのMF中村憲剛は、「後半は(主導権を)握れなかった。ポジショニングの問題だと思う」と険しい表情で語っていたが、前節終了時で総得点12とリーグ最多を誇る攻撃力は、ほとんどの時間で鳴りを潜めた。

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