指揮官の過ちと、遠藤航の加入で生まれた浦和レッズの「理想形」

  • 神谷正明●文 text by Kamiya Masasaki
  • photo by Getty Images

 そのうえで、リベロの位置には、今季湘南ベルマーレから加入した遠藤航を抜擢。これが功を奏した。

古巣の湘南ベルマーレ戦(2-0)でも高い守備力でチームの勝利に貢献した遠藤航(右)古巣の湘南ベルマーレ戦(2-0)でも高い守備力でチームの勝利に貢献した遠藤航(右) レッズ加入後、最初の出番は今季初戦のシドニーFC戦の後半だった。そのときは、ボランチでの出場だったが、ポジショニングに長(た)けた遠藤は、高いボール奪取能力をいきなり見せつけていた。

 U-23日本代表の主将としてリオ五輪最終予選に挑んでいた遠藤は、チームに合流してまだ間もない。ほんの1カ月程度一緒にプレーしただけだが、そんなことはまったく感じさせないほど、チームに溶け込んでおり、リベロのポジションにもすんなりと順応している。

 ボランチを含めた守備陣の中では一番若いが、早くもDFラインを統率し、ディフェンスリーダー然とした存在感を示している。「ラインコントロールは、自分の武器」(遠藤)と言って、胸を張るだけのことはある。

 遠藤は身長178cmと、高さ勝負には不安があったものの、それも杞憂に終わりそうだ。空中戦には定評があるアビスパのFWウェリントンと対峙しても、無難に対応。危ないシーンは1回くらいしか作らせなかった。ACL第3戦、中国の強豪・広州恒大(2-2)との対戦でも、破壊力のあるFWリカルド・グランとFWジャクソン・マルティネスの個人技に苦しむ場面はあったものの、90分を通してみれば、遠藤を中央に据えた守備陣は安定感を保って、チームに反撃の機会をもたらした。

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