阿部勇樹は誓う。「優勝して家族に『ありがとう』って言いたい」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「試合が終わって家に帰ると、上の子が『試合、勝った?』とすぐに聞きにくるんです。それで、『勝ったよ』というと、すごく喜んでくれるんですよ。その姿を見ると、次も勝てるようにがんばろうって思うし、自分はそんな家族のためにがんばらなければいけないなって、改めて思いますね。

 うちには、特に家訓とかはないんですが、僕が育児で大事にしていることは、『考えて、自分の意見を言うこと』です。僕が子どもに対して、『何か忘れていない?』『なぜ、そうしたの?』と聞いたときに、子どもにはその理由をしっかり考えて、自らの意見を言ってほしいんです。それは、すごく大事なことだと思うんですよね。まあ、単にオシムさんに『よく考えろ!』って言われ続けてきたことが、(子育てに)影響しているのかもしれませんが……(笑)」

 レッズで優勝することが、家族のためになる。阿部にとっては、それが大きなモチベーションとなる。だからこそ今季は、何としても結果を出したいところだろう。

 さて、最後にひとつ、阿部に聞いてみた。2010年の南アフリカW杯以降、名前は挙がるものの、日本代表には選出されていない。個人的な目標として、日本代表のことはもう考えていないのだろうか。

「今は、もうないですね。日本代表に戻ってプレーしたい、という気持ちもない。今は、とにかくレッズに集中して、レッズで優勝したい。そうして、僕の周りにいるみんなを笑顔にさせたい。それだけ、です」

 みんなを笑顔に――というのは、人情派らしい阿部の動機だ。だが、歓喜の瞬間が訪れたときは、阿部自身がきっと、素晴らしい笑顔を見せてくれるはずだ。

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