阿部勇樹は誓う。「優勝して家族に『ありがとう』って言いたい」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 阿部はある意味、監督以上に選手のことを観察している。練習中には、いろいろな選手に視線を向けているし、練習後のクールダウンのランニングでは、必ず最後尾について、全体を見るようにしている。

「練習後のランニングのときは、選手たちのことを見ています。『この選手、なんか元気がないな』とか『なんか、下を向いているな』とか。それで気になった場合は、まずコーチに話を聞いたりしますね。その場で、僕が気になった選手に声をかけることはないです。練習場には人がたくさんいますし、話す場所ではないですから。たまたまふたりになったときとか、帰り際に一緒になったときとかに、さりなげく声をかけて、話を聞いています。

 やっぱり練習も含めて、チームみんなで戦っているので、ひとりでも落ち込んだ選手がいると、それがチーム全体に影響してしまう。そういうのは、できるだけ避けたいですからね。そもそもキャンプとか、練習とか、自分は楽しくやりたいんで(笑)」

 阿部のそうした姿勢は、もちろんキャプテンという立場もあるが、年齢的には平川忠亮(36歳)に次いで、那須大亮(34歳)とともにチームで2番目の年長者になったからでもある。また、昨季は同世代の鈴木啓太が現役を引退した。これから先のサッカー人生について、阿部も少し考えさせられることがあったようだ。

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