【フットサル】W杯出場逃した日本。
アジア王者に何があったのか?

  • 河合拓●取材・文・写真 text & photo by Kawai Taku

 イラン代表選手に匹敵するシュート力を持つピヴォ(センターFW)の森岡薫(名古屋オーシャンズ)にボールを当てて反転してシュート、もしくは相手が引いた状態でもドリブルからフィニッシュに持ち込める仁部屋和弘(にぶや・かずひろ/バサジィ大分)のシュートが、日本の主な得点パターンだった。だが、ピヴォにボールを当てたときに3人目の選手が走り込む場面さえほとんど見られないほど、日本代表はベースにあるはずの連係がなくなっていたのだ。

 ベースを失ったチームほど、弱いものはない。勝ち抜くことだけを考えるなら、森岡や仁部屋を出し続ける戦い方でも、ベトナムやキルギスタンには勝てたのではないか。過去に木暮賢一郎(現シュライカー大阪監督)がピヴォでプレーしていたとき、日本は木暮を40分中35分以上起用する、『戦術は木暮』スタイルでも勝っていた。アジア各国のレベルが高くなっているとはいえ、まだベトナムやキルギスタンと日本の間には、それくらいの力の差がある。

 つくられた歴史は変わらない。初めて全試合が衛星放送で生中継されたなかで喫した惨敗――。日本フットサル界は、イチからではなく、マイナスから基盤をつくり直さなければならない。


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