【フットサル】W杯出場逃した日本。アジア王者に何があったのか? (3ページ目)

  • 河合拓●取材・文・写真 text & photo by Kawai Taku

 そして「ちょっと客観視してみると、3点目を獲って4点目を獲ったら、相手の戦意も喪失する。それこそマレーシア戦が特徴的というか、3点目、4点目を獲ったら(相手の)DFが崩壊していた。そういう状況をつくり出せることがイランの強さだと思います。そんなにうまくいくわけではないと思いますが、そういう強さ、うまさが必要」と語り、11-1と快勝したグループステージ第2戦のマレーシア戦を例に振り返った。

 個の能力が高い、日本代表――。

 この言葉を意識しすぎたこと、あるいは、それに徹した戦い方ができずにチームが一体になれなかったことは、タシュケントで起こった歴史的な惨劇の要因のひとつだろう。

 日本代表の個々には、先の関口の言葉どおり、イラン代表のようなシュート力はない。日本の『個』の特長は、1対1になった際、ドリブルで相手を抜くことだ。だが、『個の能力が高い』と強調されたことによって、本来の持ち味である攻撃の流動性は見失われていった。本来、日本の個の能力の高さは、これまでミゲル監督の取り組んできた「流動的なボール回し」があってこそ生きるものだ。しかし、個の能力が高いということを意識しすぎたためか、今大会の日本の攻撃には、本来のベースとなっていたはずの流動性はなかった。

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