小倉新監督よ、下を向くな。ベンゲル時代を想起させるグランパス

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AFLO

 その中心として機能しているのが、4−4−2上でセンターハーフを担当している主将の田口泰士だ。

 褒めすぎを承知で言えば、ベンゲル時代のデュリックス。そのパスセンスは明らかに代表クラスだ。実際、田口は代表としてアギーレ監督時代に3試合に出場した経験がある。遠藤保仁、今野泰幸、長谷部誠の復帰とともに、外れることになったが、ハリルホジッチ体制下では一度も招集されていない。

 その守備的MFでいま代表のスタメン候補と言えるのは、まず長谷部、次に山口蛍。U—23の遠藤航にも注目が集まっている。流れから少し外れた場所に置かれている田口だが、力的には十分足りている。まとめて倒す潜在能力を備えている。

 出身は沖縄だ、と言われて思い出すのは20年前、ベンゲル監督から高い評価を得ていたMF喜名哲裕だ。その後、地元沖縄で指導者に転じた彼曰く、「沖縄出身の選手は、本土の選手より身体能力が総じて高い」そうだ。それが田口のプレーとどう関係しているのか、定かではないが、何より目を引くのはボディバランスだ。それにステップワークと視野の広さ。さらにボールを奪う力も増している。

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