本命はどこか。福田正博が分析する今季J1優勝を争う6チーム (6ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 だが、そうしたなかにあって、風間監督が就任時から一貫して攻撃を優先できたのは、川崎のフロントやサポーターが長期的なビジョンで、風間監督の目指す攻撃的サッカーを支持してきたからこそ。キャンプを見学した日、パスの出し手である中村憲剛が、新加入のFW森本貴幸(前・千葉)に対して、ゴール前での動き方についてアドバイスを送る光景があった。中心選手が監督の意図を汲み、新戦力に助言する。こうしたことができるのも、風間監督が4年間かけて攻撃時の意識をチームに植えつけた成果だろう。

 川崎のサッカーは、バルセロナのように相手陣内で「強く・速いパス」をつなぎながら、ゴール前に一瞬のギャップを作り出して得点を狙うスタイル。それだけに、自陣には広大なスペースが生まれ、カウンター狙いのチームに足元をすくわれるケースがあった。こうした課題に対して、監督就任5年目で守備練習を多く取り入れた風間監督のもと、川崎が相手をどう圧倒するのか。上位陣とは互角の力を持つだけに、取りこぼしを減らして勝ち点を積み重ねることができれば、悲願の初優勝も見えてくるはずだ。
 
 今季は開幕カードから、いきなり優勝候補同士が激突するのも、開幕が待ち遠しくなる理由のひとつだ。連覇を狙う広島は川崎とホームで対戦し、G大阪は新スタジアムでの開幕戦に鹿島を迎える。長いシーズンの1試合に過ぎないという考え方もあるが、最初につまずいた優勝候補がズルズル沈むケースがあるのも勝負の世界。最後に誰が笑って、誰が涙をのむのか。24年目のJリーグは、開幕戦から見逃せない。
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プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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