カンプノウ並みの衝撃。吹田スタジアムでサッカー観戦が変わる (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text & photo by Shigeki Sugiyama

(ルイジ・フェラーリス+アイブロックス)÷2。瞬間、頭をよぎったのは、この2つのスタジアムだ。前者はサンプドリア&ジェノア(イタリア)のホーム。後者はグラスゴー・レンジャーズ(スコットランド)のホームだが、いずれも視角の急なスクエアで反響率の高いスタジアムだ。

 吹田スタジアムの正面スタンドを背にして左ゴール裏席に陣取るG大阪の応援は、確かにスタジアムによく響き渡った。応援団のリーダー格は、これまで通り、拡声器を使って統制を図っていた。だがこのスタジアムに拡声器は無用。そう言いたくなるぐらいよく響く。

 しかし、試合中のスタンドは比較的落ち着いていた。というか、黙ってピッチの様子に見入っている人の姿が目についた。上階のスタンドに座る観戦者ほどその傾向が強かった。

「カンプノウ」的な静けさなのだ。カンプノウに足を運べば、ファンで埋まったスタンドが、思いのほか静かなことに驚く。だがその静寂は、緊張感の裏返しだ。ピッチには声の代わりに、鋭い視線がレーザービームのごとく投影されている。吹田スタジアムの上階席に漂っていたものはこれ。観衆の"見入っている様子"だ。彼らはピッチに鋭い目線を送っていた。急な視角を保ちながら次なる展開に思いを巡らせているようだった。

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