ジュビロ磐田、話題の高卒ルーキー・小川航基は「本物」か (3ページ目)

  • 望月文夫●文・撮影 text&photo by Mochizuki Fumio

 前述の清水戦の数時間前に行なわれた練習試合でも、45分間のゲームでほぼ何もできずに終わり、試合後には名波監督から厳しい叱咤を受けた。

「試合開始から10分45秒まで、ボールにノータッチ。そんなサッカー選手がいるか!」

 しかしその言葉が、小川にとってはいい発奮材料となったのだろう。冒頭で記したとおり、直後の清水戦では懸命にプレーして見事に結果を出した。ひとつの壁を超えるためのきっかけを、少なからずつかんだ瞬間だったかもしれない。

 小川の非凡な才能には、チーム関係者をはじめ、多くの専門家も注目している。磐田の菅野淳フィジカルコーチが、「OBの中山雅史(現サッカー解説者。JFLのアスルクラロ沼津所属)や高原がそうだったように、小川も瞬発力があって、持久力もある」と言えば、サッカー解説者の澤登正朗氏も「ポテンシャルの高さを強く感じた」と評価し、それぞれ今後の活躍に期待を寄せた。

 また、清水戦のテレビ解説を務めたクラブOBの松原良香氏も、小川のプレーを目の当たりにして、彼の資質を高く評価してこう語る。

「常にボールを要求する姿勢が、FW向き。それに、この時期のルーキーというのは、ボールから逃げ腰になるケースが多いのですが、小川は自ら状況を打開しようと、積極的にボールに触ろうとしていた。そういうスタイルには好感が持てました。ただ、失敗の経験なしに成功はないと思う。それを繰り返しながら、時間をかけて、どう育てていくかが重要なポイントになるでしょうね」

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