2016.02.11

【育将・今西和男】小林伸二「ストライカー育成法の原点は『広島』にある」

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko

 そこから小林と高木のまさにマンツーマンのストライカー養成指導が始まった。

 郷原のグラウンドでチームの全体練習を午前中に終えると、ランチを取って午後は鯛尾に移動して、たった2人で楔の練習を繰り返した。DFを背負った状態でのボールの受け方やターンの仕方を延々とやり、それが終わると小林がクロスを入れてヘディング。苦手なボールの受け方と落とした後のコントロールをみっちりとやった後は、必ず高木の得意なメニューで気持ちよくトレーニングを締めるということを心がけた。

 練習だけではなく、当時珍しかったスカウティング活動も行なった。試合をすると高木だけを追いかけてビデオで撮り、終了後に高木と映像を見て、タイミングやアングルを何度も確認した。すると約半年後に大きな結果が出た。強豪日産に3-1で勝利するのであるが、この試合で高木が大活躍した。楔からのターンやヘディングでゴールを量産したのである。

 これを大きな機会として高木は日本代表まで登り詰め、「アジアの大砲」として巣立っていった。小林は結果的に代表監督として舞い戻ったオフトに、自分が受けた指導を通して成長させた高木というFWをプレゼントしたとも言えようか。

「今西さんは高木をうまく(フジタから)獲ってくれて、個人指導の重要性を説かれて、自分は駆け出しのコーチだったのに、同郷であるということもあって担当させてもらいました。それは幸せでしたね。

 ボールのタッチという意味では僕もあまりうまくはなかった。でも、オフトに出会ってそれを意識することが少しずつできるようになった自分があるから、 伝えやすいんですよね。自分が丁寧に出すことによって、相手も集中してトレーニングするし、長くなって集中が切れたら、もう終わる。それで週何回か続けていくだけで、簡単に成果が出たのでビックリしました」