J1復帰に光。清水エスパルス「きつい練習」で地獄のJ2に備える

  • 望月文夫●文・撮影 text&photo by Mochizuki Fumio

 ただ一方で、厳しい声があるのも事実だ。練習場に訪れた熱心なファンからは、「J2降格で強化部長は退任したが、社長以下同じポジションにとどまった人が多い。『一から出直す』という言葉に疑いを感じる」とか、「選手の多くは残留したけど、昨季、FW大前元紀に次ぐ得点をマークしたFWピーター・ウタカが抜けた。戦力維持ができたのかどうか疑問だ」といった、クラブの“再起”に不信感を抱く意見も聞こえてきた。

 ピッチ上でも、小さな問題が垣間見られた。昨季J1最多失点(65)の汚名を返上するため、実戦練習では守備の強化に力を入れてきたが、大勝した鹿児島戦において、無失点勝利目前の後半44分に失点した。それも、相手に崩されたわけではなく、DF陣の判断ミスから生まれた失点だった。

「(最後の失点は)ちょっとした集中力と危機感の欠如だと思うが、こういうプレーがひとつでもあると、チーム全体に嫌なイメージを残す」

 そう言って、試合を見守ったクラブ関係者は表情を曇らせた。

 ともあれ、鹿児島戦を終えた大半の選手からは、「チームが確実にいい方向に向かっている」という声が聞こえてきた。前出の松原氏も「鹿児島戦を見る限り、1年でのJ1昇格は十分可能だと確認できた」と太鼓判を押す。

 2月28日に開幕するJ2リーグ。11月まで続く長期戦を戦い抜く“地力”を今、清水エスパルスは着実に備えようとしている。それがここまで、大事なく進んでいることは間違いない。

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