本山雅志の挑戦「地元ギラヴァンツですべての力を出し切る」 (3ページ目)

  • 川崎明星●文・撮影 text&photo by Kawasaki Hikaru

 環境の変化に関しても、不自由は感じていない。

「とにかく、毎日初めてのことだらけだから、ひとつひとつが新鮮で、本当に面白い。例えば、地域との密着度というか、距離感がハンパなく近いことに驚いたりして。

(自主トレを含めて)年明けから体を動かし始めて、普通だったら(体力的には)そろそろ疲れてくる頃なのかもしれないけど、なんせ今は実家から通っていますからね。本城陸上競技場なら、実家から車で10分。コンディション作りのための環境という面では最強でしょ、実家は(笑)」

 36歳にして初めての“移籍”で最もきつかったのは、意外なことに、本来の自分は「人見知りだった」という事実を痛感したことだという。

 ひと学年下だが、幼稚園の頃から小学校、中学校、高校と、本山のそばにはずっと社交的な宮原裕司(現アビスパ福岡アカデミーコーチ)がいた。世代別の代表に選出されても、東福岡高の仲間たちが何人も一緒に招集された。そして、その代表チームのメンバー6人とともにアントラーズ入り……本山はこれまで、新たなチームでプレーすることになっても、自ら積極的にコミュニケーションをとる必要がなかったのだ。

「だから、同い年のオオシ(FW大島秀夫)がギラヴァンツにいてくれて、本当に助かりました。みんな、オオシと僕とのやりとりを見て、自分のキャラとか、いじり方をわかってもらえたと思うんです。もしオオシがいなかったら、みんなが年上の僕をどう呼んでいいのかってところから始まるから、(お互いの)距離を縮めるのにもっと時間がかかったんじゃないかな。

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