【フットサル】9連覇直後、名古屋はなぜエース森岡薫をクビにした? (4ページ目)

  • 河合拓●取材・文 text by Kawai Taku  photo by AFLO

「ポスト森岡」となる有望な若手選手とは、現在、名古屋のサテライトでプレーしている20歳のFP平田マサノリ。櫻井GMは、「3年後には森岡薫レベルになるように育てたい」と期待を寄せる。その模範となり、名古屋の新エースとなるのは、現役ブラジル代表FPシノエである。31歳のレフティは、セレソンで53試合出場38得点の実績があり、名門カルロス・バルボーザに在籍していた2010シーズンには年間72ゴールを記録。その後も毎シーズン平均40ゴール以上を挙げ続けている。

 もちろん、森岡をクラブに残しておくこともできた。だが、櫻井GMはリーグの顔となったスター選手に、ふたたび競争を迫ることを望まなかった。

「よい意味で、選手としてのプライドも高い森岡が新たな競争にさらされた場合、『ロッカーで問題が起こるかな』ということは危惧しました。森岡はたしかによい選手です。彼が来季も我々のチームにいれば、30得点は必ず獲ってくれるでしょう。そういう選手であると信じて疑いません。ただ私は、新外国人選手が今年ヴィニシウス(シュライカー大阪)の打ち立てた新記録(年間48ゴール)を更新するだろうと思っています」

 櫻井GMは、シノエを新たな軸に据えたい明確な意図を説明した。

 名古屋のエースとして君臨する森岡も、ブラジル代表のシノエの控えならば納得するかもしれない。しかし、育成を考えて平田により多くの出場時間が与えられた場合には、チーム不満分子にもなりかねなかった。さらに、この優勝決定直後のタイミングでの通告は、森岡のためでもあるという。

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