高校サッカー選手権、実力校が激突する準決勝「4校のキーマン」 (5ページ目)

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • photo by Shingo Ito/AFLO SPORT

 攻撃では、奪ったボールを素早く前線につなぎ、それに合わせて2列目、3列目の選手も瞬時にサポート。厚みのある攻撃で、一気に相手ゴールを強襲する。そんな愚直なスタイルで、大社戦、桐光学園戦と、ともに2点ビハインドから勝利をもぎとった。

 黒田監督は、これらの勝利を「奇跡」と表現したが、一方で「体を張って、走り負けることなく、自分たちがやるべきことをコツコツと積み重ねていけば、幸運はめぐってくる」と自チームの強みを強調。必然的な勝利といった手応えも得ている。

 この難敵に立ち向かうのは、個々の柔軟なテクニックと繊細なパスワークを持ち味とする國學院久我山。ただ、今大会はここまで、タフさやしぶとさというものも光っている。インターハイ1回戦で、明徳義塾(高知県)相手に1-2と敗退。それ以降、徹底的にフィジカル強化に努めてきた賜物だろう。

 夏場の合宿では、猛暑の中、1日2試合を消化。試合と試合の合間には、筋トレまで行なうハードスケジュールをこなしてきた。おかげで、精神的にも、肉体的にもたくましく成長し、技術にプラスして、タフさも身につけることができた。

 ゆえに、これまでの戦いを振り返って、MF名倉巧(なぐら・たくみ/2年)が「最後まで走り切る練習をやってきた成果が出ている」と言えば、DF野村京平(のむら・きょうへい/3年)も「夏合宿を終えてから、チームとしての粘り強さがついてきた」と胸を張った。

 準々決勝までの4試合で、1点差で勝った試合が3つ。残りひとつはPK戦の末の勝利だった。その結果にこそ、彼らが誇る“粘り強さ”がよく表れている。

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